会話の中で、相手のアメリカ人の言葉が聞き取れているのに、意味が分からなくて、ぽかんとしてしまうことがあります。例えば、
walk the talk talk the talk
plan B
dog and pony show
the jury is out
the writing on the wall
one trick pony
value trap
Goldilocks economy
poster child
bean counter
などのような、簡単な言葉にも関わらず、知らないと意味がつかめない表現です。
また往々にして、辞書の簡略な説明では、よく理解できないことがあります。
あるいは、sabbatical や prenup のように、米国では普通のことでも、日本ではまだ一般に普及していない習慣のため、理解できないこともあります。
場合によっては言葉の背景にある、米国のシステムや生活様式を理解していないと、正しく理解が出来ない場合もあります。例えば、英語の president、vice presidentと、その訳語である社長、副社長は必ずしも同じではありません。米国の会社を訪れて president が一人もいなかったり、vice president が何十人もいるのに驚いたりします。
受験勉強や英会話、あるいはTOIECの勉強などは、意外と限られた範囲の教材に限られています。そのため、実際のビジネスの場や、米国での日常生活の場に入ると、習ったことがない英語表現が、沢山出てくることになります。
本書は、そんな英語の言葉や表現の中から、ぜひ知っておきたい言葉を、見出し語として選びました。言葉の意味と共に、その背景にある米国社会のシステムや生活様式、そしてアメリカ人の考え方について、できるだけ説明するように心がけました。
言葉は、覚えてしまわないと、何にもなりません。ですから、本書は理解するだけではなく、覚えて、自分の会話でも使えるようになることを目指しています。説明文は、記憶を助けるようなエピソードを、できるだけ含めるようにしました。
本書で取り上げた言葉は、米国で普通に使われている英語です。ごく普通のアメリカ人の日常会話に出てくるとともに、新聞、雑誌、テレビ等で毎日のように使われる言葉が大部分です。決して、難語のたぐいではありません。ただ多くの日本人にとっては、なじみが無かったり、分かりづらかったりする言葉です。
ビジネスで英語を使われる方、外資系企業にお勤めの方、英語の雑誌や新聞を読まれる方、米国のことをもっと良く知りたい方などに、おもしろく読んでいただければ幸いです。
見出し語の例:
the writing on the wall 壁に書かれた恐ろしいお告げ
walk the talk とtalk the talk 有言実行の人
plan B 計画失敗で次の手は?
eat your lunch 油断大敵
Ponzi scheme 米国初の大物詐欺師
poster child 象徴的な人物
rainmaker お金の雨を降らせる弁護士
one trick pony 一芸に秀でるか、一芸しか出来ないか?
catch-22 堂々巡りのジレンマ
cash cowとdog お金を産む牛と退屈な犬
reinvent the wheel 車輪の発明に精を出す人たち
glass ceilingとcorporate ladder 女性の昇進をはばむ見えない壁
bean counter 会社で豆粒を数えているのは誰?
dog and pony show 会議のための紙芝居
silver bullet とsnake oil 狼男には銀の弾丸、切り傷にはがまの油
Main Street対Wall Street あなたもメーンストリート
albatross アホウドリと厄介な問題の関係
turn liabilities into assets 災い転じて福となす
Don't shoot the messenger 馬耳東風の伝達役
take no prisoners ダイ・ハードの刑事マクレーン
boondoggle 他人のお金で大名旅行
caveat キャビアと混同する落とし穴
discretionary expense たまにはビーチリゾートで戦略会議
croissant クロワッサンは10回言っても通じない
house of cards トランプの家に空が落ちてくる
custodian 清掃係りの後見人
retention bonusとpink slip 倒産寸前でもボーナス大盤振る舞い
boardとchairman 社長が首になるとき
soccer momとgas guzzler サッカーママのお友達は大酒飲み
prenupとno-fault divorce 結婚前に離婚の相談
Black Friday 夜中から行列の出来るセール
bounty hunter 今でも活躍する賞金稼ぎ
Zombie company ゾンビな会社が米国にも
全部で114個の見出し語から、構成されています。 各見出し語の説明は600字から1200字ほどで、説明文の中では、更に関連する英単語について記述されています。