〈あらすじ〉
1978年、サッカー・ワールドカップ開催を控え、全国的にサッカーで盛り上がって
いたアルゼンチン。そんな中、貿易会社に勤める日本人サラリーマン藤枝浩介は、理不尽
な理由で軍事政権によって拉致され、強制収容所へ入れられてしまう。
当時のアルゼンチンは、軍事独裁政権によって市民が三万人も拉致・虐殺され、欧米か
ら〈汚い戦争〉と呼ばれた圧政の時代。身代金ほしさに、多くのサッカー選手が強制収容
所に入れられていた。収容者たちは、サッカーの試合で陸軍チームに勝てば、恩赦しても
らう約束を取り付ける。圧倒的に不利な状況だが、収容所チームには切り札の男がいた。
もうひとりの日本人収容者は、メキシコ・オリンピックで銅メダルを獲得した日本史上最
高のサッカー選手だったのだ。
ワールドカップ決勝戦前夜、いよいよ収容所でも試合が開催。収容所チームは、果たし
て試合に勝利することができるのか――。
* * *
本作は、軍事政権下のアルゼンチンを舞台に、日本人を含む無名のサッカー選手たちが
過酷な運命に立ち向かうという冒険小説です。といっても、ほとんど銃撃戦はなく、サッ
カーの試合がメイン。サッカーに取り憑かれた者たちの確執を描いた異色のスポーツ小説
でもあります。
内容量は、400字詰め原稿用紙で、約480枚。ちょっと厚めの文庫本ほどの量があ
ります。息をもつかせぬ熱い展開に仕上がっていますので、秋の夜長にでも一気に読み通
すと、最高にお楽しみいただけると思います。サッカー好きの方にお勧め。
〈著者〉
阪東義剛(ばんどうよしまさ)
1965年、大阪生まれ。早大人間科学部卒。放送作家、ビデオ・ディレクター。
ラジオ番組、テレビ番組の他、博物館等の展示上映ビデオなどを数多く手掛ける。
代表作:ラジオ「Suntory Saturday Waiting Bar AVANTI」テレビ「バック・トゥ・ザ・
21世紀」映画「バブルへGO!」展示上映作品「藤子不二雄ミュージアム」