北の大地に突如出現したトランサーの大群は、行く手のあらゆるものを消滅させながら流れるように広がった。未曾有の危機に国々は大同盟を結び、特殊な能力を持つ作用者たちの防御力をもって、エネルギー場による壁を築いた。侵攻は抑えられたかに見えたが、止めどなく湧いてくる大群により壁は後退を続け、人の住む地は年々失われていった。大群は壁向こうの大地をえぐり深い谷が形成されていった。いつしか、壁の先の領域を人は紫黒の海と呼ぶようになった。
本書は、崩壊に向かうこの地に生きた、作用者たちの記憶を書き綴ったものである。
ロイスのシャーリンと過去の記憶を失っているカレンは、作用者としての認定を受けるため、国都の権威ある者のもとに向かう。平穏な旅になるはずだったが、途中、何者かの襲撃を受ける。
ふたりが、特別な作用者を探す者たちと出会うとき、運命の歯車が静かに回り始める。
こちらは分冊版です(1/4)