アメリカ大統領選挙がむちゃくちゃおもしろい。出来の悪いミステリー小説をはるかにしのぐ複雑怪奇な面白さ。西部劇の「真昼の決闘」か、はたやFBIとギャングの抗争を描いた「アンタッチャブル」を超えた実録ドラマが展開され、誰が大統領になろうとドラマは底なし沼のように続く。
ニューヨークの不動産王でテレビタレントのトランプと、アメリカ初の女性大統領というよりは、法の支配を超越したアメリカ初の「女王」を目指すヒラリー・クリントンの筋書きどおりの選挙戦がフィナーレを迎えた。
プライベートメールサーバー事件を乗りこえ、迫り来る民主主義者サンダースを予備選挙妨害で倒し、アメリカ人の六割に信用できないといわれながら、自分よりもさらにひどり悪役をみごとに演じてくれた旧友トランプのおかげで、ヒラリーは野望達成寸前。しかし、突然立ちはだかるEメールゲートの亡霊とFBI。当選すれば大統領弾劾裁判が待っているかも知れない。
ヒラリー・クリントンの米大統領選立候補表明から今日まで、陰謀と謀略情報と金と地位が絡んだ米大統領選の全貌をミステリータッチで本書は描く。日本のメディアがほとんど報じていないが、世界のどこにいようと入手できる「事実を伝えているはずの英文報道」に基づいている。
史上まれに見る醜いアメリカの大統領選挙というが、もともとアメリカの民主主義は西部開拓時代以前の姿をそのまま残す未成熟なものだ。今回の選挙はその構造の欠陥を露呈するとともに、アメリカ社会全体が調整機能を失ったことを証明した。アメリカ国民の失望と不安の中に、南北戦争以来の第二次内戦の予感さえ感じさせる不気味さはなぜだろう。
どちらがなろうと史上最悪のアメリカ大統領が誕生する。さあ、「同盟国」日本はどうするのか。まずはなにが2016年アメリカ大統領選挙で起こったのかを、筆者とともに推理して,理解してみよう。本書には、電子出版の強みを活かして、文章にニュースへのリンクを貼ってある。辞書を片手に、リンクを紐解いてみよう。「大統領の秘密」を解き明かすのはあなたかも知れない。
本書は大統領就任から百日間は推移をフォロー。順次書き加えて再編集する。
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元共同通信編集委員 菅谷洋司
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