ヨーロッパやアメリカの社会、宗教、文化、芸術を理解するためにぜひ知っておきたい、旧約聖書・新約聖書の内容とギリシア神話を、日本の子供たちのために、簡潔でわかりやすいお話にしました。昭和初期の格調高い児童書を底本に、漢字、かなづかいを新しくするだけでなく、誤りを訂正し、表現を現代的でわかりやすいものにするなどの編集を加えています。
『こどもと大人の聖書』では、一般的な子供向け聖書物語では無視されがちな歴史的な背景の説明も加えて、ストーリーに一貫性をもたせ、旧約と新約とのつながりについても言及することで、大人にとっても読みがいのある内容になっています。また、新約聖書の内容としては、イエスの生涯(福音書)で終わるのでなく、『使徒行伝』の内容を入れることで、子供向きの聖書として異色あるものになっています。どちらかといえば「歴史」としての側面を重視した、宗教色の薄い聖書物語です。
ギリシア神話もまた、ヨーロッパの文化と芸術を理解するために欠かせないものです。人間に火をもたらしたプロメテウスとパンドラの話、彫刻などの芸術作品などで知られるアポロンとダフネの話、エンデュミオンの話、熊座の星になったカリストーの話、太陽の車をあやつろうとするパエトーンの話、冥界の王にさらわれたペルセポネーと母神デメテルの話など、悲しくも美しい詩的なお話を集めました。
読み聞かせの場合は小学校低学年くらいから、自分で読む場合は小学校高学年くらいから読めます。
なお、本書は『こどもに語り聞かせる旧約聖書物語』と『こどもに語り聞かせる新約聖書物語』と『こどもに語り聞かせるギリシア神話物語』の合本です。