詩人たちの論じた安部公房論です。
1950年代後半から1960年代後半までの代表的な作品、即ち『けものたちは故郷をめざす』『砂の女』『燃えつきた地図』、そしてそのほかの作品を、次の詩人たちが論じています。
1。飯島耕一
2。長田弘
3。三木卓
4。磯田光一
磯田光一は詩人ではなく、批評家ですが、やはり安部公房の『無名詩集』を論じて、優れた評言を残してくれておりますので、その論考も入れて、1冊としました。
安部公房は生涯詩人でありました。
やはり、詩人は詩人を知るというべきでありましょう。
いづれも優れた詩人による安部公房論となっております。
これらの安部公房論を通して読みました、安部公房という人間の全体像を知ることができます。
そのように各論を配置し、各論同士の脈絡をつけて論じてあります。
また、最後の磯田光一の論考を吟味する中で、1970年代の安部公房スタジオの演技論にも触れ、それが一体いかなる考えに基づくものかを、安部公房の10代の詩、そしてリルケの詩との関係で論じ、首尾一貫性を以って、安部公房の読者の深い理解を誘うように構成しております。
安部公房の好きな方に、是非お読み戴きたいと思っております。