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Exploring East Asia Empire System (Japanese Edition)

 東アジアで中国が台頭し、過去の中華帝国的な秩序の復興が危惧される。加えて東アジアは周辺諸国を含め経済成長が著しく、今後の世界に重要な役割を果たす地域となりつつある。この中で日本はどのような役割を果たすべきか。過去の王朝時代にまでさかのぼり、この地域世界の歴史構造を全体的に明らかにする中で、今後の課題を考察する。
 広大な東アジア平原を基礎に古来から中華というシステムが稼働し、今日の世界に中国、そしてベトナム、韓国・朝鮮、日本など小中華諸勢力の残骸が国民国家として残っている。特に中国は東アジア全体の秩序を形成したシステムで、単に一つの国というにとどまらずEUのような広域連合の性格も歴史的に帯びていた。多くの周辺民族がこれに飲み込まれ、飲み込まれなくても冊封体制他でその連関の中で生きてきた。この帝国を扱うことはそこに生きた諸民族に正当な敬意を払うことだ。「中国」の中に広大な東アジアがある。
 中華は東アジアというかつての「世界」(天下)を全一的に統治する帝国メカニズムであり、ローマ帝国同様、多様な異民族を中に取り込む秩序だった。それどころか、元、清をはじめ多くの中華帝国が異民族による征服王朝だった。この多民族帝国構造が、近代に至り、西欧的な民族国家の枠内に収められ、とりわけ清朝の広大な版図がそのまま単一の民族国家に移行してしまった。内部に解決しがたい民族問題を抱え込むと同時に、列強が迫る国際情勢の中で、中華ナショナリズムを覚醒させていった。
 本書では、日本の歴史学研究の成果に広く当たりながら、東アジア帝国への遊牧世界の影響、海洋の時代への転換の意味、経済成長の歴史的要因としての小農経済、東アジア社会主義とはいったい何であったのか、など今日必要なアジアへの視座を全般的に探った。
 東アジア帝国の運命は周辺諸民族にとって他人事ではありえない。中国が変わらない限り、私たちのアジアも本当には変われない。14億の民が破壊的危機に向かうことを回避しながら、しかし、問題を解決してあるべき姿に軟着陸して頂く。そのため、安定した国際関係を周辺に構築するなど周辺諸国にも課題が存在する。

目次
(まえがき)
第1章、広大な東アジア平原
 開かれた東アジア平原 なぜ中原から 長江文明
第2章、遊牧世界起源の中華帝国
 秦の中国統一 華北はユーラシア大陸に通じていた アケネメス朝ペルシャの影響 華北に印欧系の古代人 漢族は一度絶滅していた? 征服国家起源説
第3章、帝国の多民族社会
 中華帝国の形成 帝国は普遍的原理を掲げる ローマ帝国 帝国vs民族国家 「国民国家」か「民族国家」か
第4章、征服王朝の系譜
 「征服王朝」の不思議 隋・唐も北方民族系 遊牧民がユーラシアを席巻した時代 仲間づくりに長けたモンゴル モンゴルに支配された中国 明から清へ 中華民国から中華人民共和国へ 同化を強いる「溶鉱炉」
第5章、漢字の国際性
 東アジアの国際語 人工語としての中国語 日本の中国語化の可能性 頭の体操 漢語のアルタイ語化
第6章、海洋国家の時代へ
 草原から海洋の時代へ モンゴルの海洋展開 南北物流寸断で元が衰退 モンゴル支配の西端と東端 毛皮貿易で女真族が台頭 倭寇と密貿易 台湾に独立政権も イギリスの野望 アメリカのアジア戦略
第7章、中国の農民反乱
 王朝を倒す農民反乱 千年王国主義と義賊 民国期の匪賊、宗教結社 匪賊と結んだ革命軍 粛清のはじまり 中国王朝サイクルの中の農民反乱
第8章、社会主義とは何であったか
 ホー・チ・ミン 社会主義 人類への罪 中国の革命根拠地で約10万人が粛清 社会主義はモンゴルの遺産か モンゴル継承国家としてのロシア マルクスのモンゴル、ロシア批判 西欧起源のテロル 東アジア社会主義で初の民主化 殴り合いさえなく
第9章、戦後歴史学のアジア認識
 新しい酒は新しい革袋に盛る アジア認識でマルクス主義史学が解体 「世界史」理論の登場 東アジアの経済成長
第10章、東アジア小農社会
 成長の基礎としての小農社会 土地分配を強調した中国革命 実現しなかった土地の農民所有 土地請負経営権強化の方向 工夫と努力へのインセンティブ
第11章、雲南:中華の周辺
 雲南の独立国家 西南シルクロード 南詔 大理国 モンゴルによる征服 明代以降
第12章、ベトナム:独立と小中華
 1000年の中国支配 中国からの独立 3次のモンゴル侵攻を撃退 モンゴル軍をはばんだ亜熱帯の風土 明、清の侵攻 ベトナムの南進 小中華の形成 中華の周辺から
第13章、多元的中国と統合の論理
 中国世界の融合民族 民族の多元一体構造 国内民族を凝縮させる理論が求められた 少数民族の権利 民族は融合するか 漢族はいかにつくられたか 帝国が民族国家に 軟着陸の課題 人と人との交流 経済連携の強化 安心して分離できる枠組み
(あとがき)

著者プロフィール
 市民社会ガバナンス研究者。1950年栃木県生まれ。若い頃から世界を放浪。1979年にカリフォルニア大学バークレー校自然資源学部自然資源保全科卒業後、日米でフリージャーナリスト、環境シンクタンク、市民団体勤務など。2001年から2013年まで愛知東邦大学経営学部地域ビジネス学科准教授、教授を歴任。「第5の人生」はアジア探訪へ。2013~2015年、時事通信ハノイ支局勤務。主要著書は下記の通り。

 『市民団体としての自治体』(御茶の水書房、2009年)
 『サンフランシスコ発:社会変革NPO』(御茶の水書房、2000年、生協総研賞受賞)
 『インターネット市民革命』(御茶の水書房、1996年)
 『社会が育てる市民運動 ―アメリカのNPO制度』(社会新報ブックレット、1993年)
 『日系アメリカ人: 強制収容から戦後補償へ』(岩波ブックレット、1991年)
 『多民族社会の到来』(御茶の水書房、1990年)
 『パソコン市民ネットワーク』(技術と人間、1986年)
 『車社会を自転車で in ロサンゼルス』(アマゾン電子出版、2015年)
 『南スーダン、ケニア、1981年』(アマゾン電子出版、2015年)

本人ウェブページ:http://www5d.biglobe.ne.jp/~okabe/
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