本書は、日本一のクラゲ天国、田辺湾で暮らしているクラゲの若い世代の紹介です。約150種のクラゲが、京都大学瀬戸臨海実験所が1922年に開所以来、ほぼ1世紀をかけて田辺湾とその付近から記録されました。多くのクラゲの種は、複雑な一生を送っています。そして、それらの若い時代はクラゲとは全く別の姿で、水底でひっそりと暮らしているのです。まるで海藻の様な、陸上植物の様なポリプと呼ばれる姿です。本書ではその様なポリプの形態的特徴などを簡潔に紹介しています。変態するクラゲの一生(生活史)を解き明かす研究は難しいのですが、本書できっと不思議な形と色をしたポリプの面白さが分かるでしょう。
著者紹介
久保田信
京都大学フィールド科学教育研究センター瀬戸臨海実験所准教授
1992年に和歌山県白浜町にある実験所に赴任して以来、クラゲ(刺胞動物門+有櫛動物門)の系統分類学や周辺海域の各種生物の博物学的研究を中心に行っている。特に若返るベニクラゲの研究で国際的に注目を集めている。