ある青年が、山中で地図を見てとまどっている様子。ちょうどそこに居合わせた僧侶と青年は、話を交わし、青年は大雨でこんな様子に変わってしまったことを知る。僧侶は、水は浅瀬で、歩いても渡れり、渡った先には地図に載っていた通りの道が続き、目的のところまでたどり着けると教える。青年は教えられたとおりに水を渡り、道をたどっていこうとする。僧侶は、道は新道と旧道の二つがあり、近道ではあるが旧道は絶対に行ってはいけないと戒めるが、青年は僧の戒めにもかかわらず、好奇心に駆られ旧道を行ってしまう。
青年は、道に迷い、途中の森で山びるに襲われ、ほうほうの体で逃げ惑うと、山中の一軒家にたどり着く。一軒家には、車いすの老人が縁側にいて、青年を待ち受け「お前を待っていた」などと不思議なことを言う。そのうちにこの家の美しい娘が外から帰宅し、蛭にかまれた青年の世話をかいがいしくしてやる。夜、娘は青年をふろに入れてやり、娘が風呂の水で青年の体を撫でてやると、疲れや怪我がたちまち癒され、青年は恍惚とした気持ちになる。その際、ヒキガエルや、蝙蝠、サルなど動物たちが娘にまとわりつくが、鈍感な青年はそれを自分に都合よく勘違いしてしまう。翌日も娘に懇願され家に泊まることになった青年は、傷を癒す不思議な水の水源を娘と一緒に見に行き、そこで娘の秘密を打ち明けられ、青年は娘の境遇を救おうと心に決める。同時に、車いすの老人(娘の父)からも、不思議なことを聞かされ、女(=娘)を殺してこの因果から逃れるようにと言われる。
娘は、使用人に嫌がる馬を町に売りに行き、青年をもてなすごちそうを買って来いと命じる。もてなしの宴が終わり、夜が静まったころ、娘と老人の部屋から争う声を聞きつけ、青年が部屋に駆け込む。そこで見た衝撃的な二人の姿に動転し、青年は夢中で二人をめがけて切りつける。そこへ飛び込んできた使用人に制され、騒ぎの中で意識を失い、気づいてみれば、また、元の山中、最初に僧侶と別れた場所で、青年は娘を求めて狂気のようにふるまうが、僧侶はそれを抑えようと、高々と真言を唱える。青年の叫びと真言が重なり合い音響的に最高潮に達したところで幕が閉じる。