「愛は隣人に対して害を与えません。それゆえ、愛は律法を全うします。」 (ローマ一三・一〇)
イギリスのある広告会社が大きい懸賞をかけて全国民にクイズを出しました。スコットランドのエジンバラからロンドンまで、一番速く行く方法を聞くことでした。数多くの応募作を抑えて選ばれた答えは、まさに「愛する人と一緒に行く」というものでした。愛する人と一緒に行くなら、いくら遠い道でも、その道が近くて短く感じられるからです。同じように、私たちが神を愛すれば、神のことばどおり行うことが決して難しくありません(第一ヨハネ五・三)。神は私たちをつらくさせようと律法を与えて、戒めを守りなさいと言われたのではありません。
律法とは、ヘブライ語「トーラー」に由来する言葉で「規範、教訓」という意味があります。ふつう十戒を中心にするモーセ五書のことを言いますが、聖書六六巻のみことば全体を称したり、そのうち「しなさい、してはならない、守りなさい、避けなさい」という戒めのことを言ったりもします。よく律法と愛は別物のように思いがちですが、この二つは切っても切れない関係です。愛は神から出たもので、神を愛さなければ律法を完全に守ることができなくて、すべての律法は愛の心を持って行う時でこそ、完全になるからです。