まえがき
阪神淡路大震災から20年、教訓を未来へ!!
私は神戸市灘区、阪急六甲駅から徒歩3分の場所に、「ユカクッキングスタジオ」という料理教室を主宰しています。私はここでおもに阪神間に在住の生徒さんにお料理を教えています。このスタジオを立ち上げたのは平成4年、そのわずか3年後の平成7年1月に阪神淡路大震災に遭遇することになったのでした。
大震災で私の自宅は半壊してしまいましたが、3軒先で火災は鎮火して奇跡的に助かりました。私は避難所である六甲小学校に身を寄せていました。私自身は助かりましたが、ご近所でも多数の方が犠牲になりました。さらに悲しかったのは、避難所で孤独死する人が続出したことです。特に独居男性の孤独な死は、聞くだけでも切ないものでした。
この震災経験は、私にとって大きな意味がありました。ひとつはボランティアに目覚めたことです。2011年3月11日に東北地方の太平洋沿岸で発生した、国内観測史上最大の地震と津波。このときの悲惨すぎる映像をテレビで見ていた私は、阪神淡路大震災のあとで孤独な死を迎えた人たちのことを思い出しました。かつての神戸よりもずっと多くの復興住宅が作られるだろう、そこには、妻や子を亡くした孤独な男性がたくさん入居するかもしれない…。
そのとき、私の頭の中にさまざまな思いが浮かびました。もし、一人暮らしの男性が自分で料理ができれば、そして美味しい料理を食べて元気を取り戻せば、孤独死を減らせるのではないか、生き抜くことができるのではないかと思いました。
もうひとつは、お料理の持つ力に気づいたことです。食べることは人間の根源的な営みですし、美味しいものを食べて不機嫌になる人はいません。そして、栄養バランスのとれた食事は心身を健康にしてくれます。
私は毎年、宮城県気仙沼市に出かけて仮設住宅の集会所で料理教室を開いています。ここで多くの方に接し、東北の新鮮な食材を目にして、私の方が元気をもらっています。また、人は食べて癒され元気になるということも実感しました。
今回の電子書籍の出版を決意した最大の理由は、この本を通じて男女を問わず多くの方々に料理の楽しさに目覚めていただき、一人でも元気な人を増やしたいためです。お料理は精神的にも身体的にも、人を前向きにします。素材を探してメニューを考える(その逆もあり)のは楽しく創造的な作業ですし、自炊は外食とは違うよさがあります。
高価な食材でなくても、自分で作るお料理は外食よりもずっと体を元気にします。皆さんぜひ、特に男性の方は、この機会にお料理を覚えてください。家事にも積極的に参加し、奥様を助けてあげてください。また単身の方は、ご自分の健康管理にお料理をお役立てください。多くの方が指摘しているように、コンビニ弁当で健康になることはないのですから。
この本をきっかけに、料理との距離が近くなり、料理が好きになってもらえますように。
まえがき
第1章 料理の基本
1. 包丁の使い方
2. 計量の仕方
3. 材料の切り方
第2章 献立力をつける&段取り上手&冷蔵庫活用
1. 献立の立て方
2. エコで賢い週1回の買い物プラン
3. 忙しくても要領よく&手早く整う食事作りのポイント
4. 食品冷蔵、冷凍法の基本
第3章 10分でできる格安レシピ
1. 無駄なし使い切り! 食費節約クッキング
1.お肉をストックして食べごたえバッチリ
2.閉店間際に半額で買うお刺身で簡単メニュー
3.体にいい 切り身魚1パックでヘルシー使いこなし
4.安定価格でお弁当のおかずにもなる卵メニュー
5.ヘルシーな豆腐メニュー
2. 残った料理、食材をおいしく。冷蔵庫のストック一掃クッキング
3. 買い物の節約
1.お手軽価格のもやしで節約献立
2.いつものツナ缶で楽々献立
3.ひじきの煮物のお惣菜をリメイクしてアレンジメニュー
4.パスタでワンディッシュ お助けメニュー
4. パパッと簡単! でも美味しい。時間節約クッキング
1.包丁も使わない 5~10分でできる副々菜
2.火を使わない簡単副々菜
3.フライパンひとつでできる簡単主菜&丼
4.電子レンジを使いこなす
5.時間節約オーブントースター&グリルで焼くだけ 主菜、副菜にも
6.お湯を注ぐだけで完成 1分汁物
5. 明日ラクの作り置きおかず
6. 10分でできるおうちごはんのポイント