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AutoCAD2011には、レンダラーにmentalray、マテリアル設定にAutoDeskマテリアルという仕組みが用意されています。mentalrayについては、AutoCAD以外にも実装され参考となるテキストもあるのですが、AutoDeskマテリアルについてはヘルプなどを参照しても通り一遍なことが書かれているだけで、出版されている本でもほとんど言及されておらず、なかなか使い方がわからないといった状況です。
本書では、モデリングとレンダリングについては他にお任せして、AutoDeskマテリアルのマテリアル設定について実験をとおしてわかった機能を述べます。モデリングなどについては、他にわかりやすい参考書があるので、そちらを参照してください。
AutoCADは2次元のドラフティングの世界で多く使われ、精度も信頼性も高いCADソフトウェアです。2次元の世界でAutoCADをマスターしているユーザーも多いかと思います。同じソフトウェアですから、3次元の世界に移行しても、2次元で使えるAutoCADのドラフティングテクニックを、そのまま3次元モデリングで使えます。またAutoCADの3Dモデリングで使用するソリッドモデルは、建築などの幾何学的なものを簡単に扱えるので習得も早いかと思います。他の3次元CG専用ソフトの汎用性が高いが多様なモデリング手法に比べると、簡潔に扱うことができます。
レンダリングにおいても3次元CGで広く使われるmentalrayが使用されています。AutoCADでの使用は、限界はありますが難しい設定をすることなくプリセットの値で比較的きれいな画像をレンダリングすることができます。これも、他の3次元CG専用ソフトがいろいろな用途を考えて柔軟に作られている反面、設定項目が多くマスターするには多大な時間がかかるのに比べて、扱いやすいメリットです。
そしてAutoDeskマテリアルですが、機能を解明していくと、簡単に扱えることがわかってきました。
簡単である、習得が早いというのはメリットでもありデメリットでもあります。しかし、AutoCADの3次元の世界は、プロフェッショナル仕様の3次元CG専用ソフトと同じ概念で同じ手順を踏むものです。最初に挑戦する3次元CGのソフトとして、また簡単なレベルの用途として、AutoCADの3次元は使えるものになっていると思います。
本書は、視覚的な図像を扱うことから言葉による説明だけでなく、レンダリング結果のサンプル画像を多用して、直感的に理解できるようにしました。また、一通り理解した後でも、サンプル帳として設定値の参考になるかと思います。マテリアル設定で出てくる用語については、CGになじみのない方でも分かるように解説するようにしています。
また、AutoCADにはソフトウェア上の限界もあるようですし、あまり使いこまれていないのか奇妙なところも残っています。再現性がないので取り上げなかったところもありますが、妙なところは妙なところとして書くようにしました。本書はAutoCAD2011について書かれています。著者の手元のバージョンがそうだったからですが、最新のバージョンでは改善されているかもしれません。
AutoDeskマテリアルは建築設計を想定して作られており、実例サンプルなどは建築を題材としました。