8月に『妄想編5』を出版したあと、「このシリーズはしばらくお休みにして、他のことを考えてみましょうかねぇ」という気持ちになって一区切りをつけた。つけた、つもりであったのだが、区切りはつかなかったようで性懲りもなくまた始まってしまった。登場人物たちが俺の手を動かしたのかもしれない。なんてね。
今回は、『妄想編5』の続編となる『妄想編6』ではなく、そこから少し離れたところの話を『妄想外伝(009編)』として書いてみた。
『妄想編』シリーズの主役である肝高七味がサラリーマンの姿で登場し、同じ会社に勤める九郎丸カナというヒロインが彼の姿を描くという設定のストーリーになっている。
物語の前半は、九郎丸カナが見た肝高七味の姿を描き、サラリーマンの肝高七味が『あんたシーバス、おれ鱸』を作成し出版するまでのエピソードも含んでいる。
そして物語の後半では、主役の九郎丸カナが会社を辞めてひとり世界に飛び出し、そして肝高7の面々と肝高七味に合流するまでを、彼女の活躍する姿を中心に描いている。
読んでいただいて分かる通り、内容は毎度のことながらオチャラケた感じで『妄想編』(1~5)の楽しさをより一層膨らませてくれるもので、自分でも惚れ惚れとする素敵な仕上がりになっている。ははっ。
物語の中から少し抜粋してみよう。
私の名前は九郎丸カナ。24歳の独身OLだ。
会社の男性社員のほとんどは私のことを“きゅうちゃん”と呼び、多聞次長だけが“マル”と呼ぶ。
私の身長は155センチ、体重は53キロでやや重めであるが、ウェストはしっかりとクビれており、ヒップ92、バストは90センチのDカップだ。周囲の視線をいつも感じるが、男性が多い職場の中でそんなことをいちいち気にしていては、とてもじゃないが、やってはいけない。
私の勤める会社は大阪市内の湾岸寄りにあり、近くを淀川(新淀川)が流れている。親会社は東京にあり、その親会社の特命を受けて私は4年前からここで働いている。そのことについては、親会社の会長と社長以外に知っている者はおらず、この子会社の社長であっても知らされてはいない。
その特命の内容は、超スピード昇進が可能な社員を探して報告することであり、管理部総務課に籍がある私には特段難しい仕事ではない。月に一回、自分の気がついたこと感じたことを報告すればいいだけであり、その報告方法についての決まったルールはない。
特命を受けていることを口外しないことだけを私は守ればよく、それによって同年代の女性社員の50%増しの給料を受け取っている。その50%増し分の給料は、宅配便を装って私の住むマンション(借り上げ社宅)に現金で届けられ、しかも使い古された1万円札で送られてくる。そのことが、違法であるのかそうでないのかは私には分からないし、興味もない。
・・中略・・
事務所から出て会議室や応接室に向かう廊下を少し歩いたところに、小さな給湯室がある。仕事が終わる間際に自分のコーヒーマグをそこに洗いに行くと、その流しで多聞ちゃんが一人で手を洗っている後姿が見えた。
私は、足音を忍ばせて近づき、その背中に抱き着いてやった。“巨乳抱き着き攻撃”じゃ、ははっ。
「う~~~っわ、マルかよぉ~」
「びっくりしたやろぉ~」
「びっくりしたけど、マルの乳(ちち)、でかいなぁ~」
「感じた?」
「アホかっ!」
「ははっ、感じたんやな」
「やめなさい、他の人に聞こえるだろ」
まぁ、こんな感じの物語です。楽しんで読んでみてください。