【法華経について】
　此れは、是れ仏より後、迦葉、阿難、竜樹、天親、天台、妙楽、伝教、義真等の大論師大人師は知りてしかも御心の中に秘せさせ給いし口より外には出し給はず、其の故は仏制して云く「我が滅後、末法に入らずば此の大法いうべからず」とありしゆへなり、日蓮は其の御使にはあらざれども其の時剋にあたる上、存外に此の法門をさとりぬれば聖人の出でさせ給うまでまづ序分にあらあら申すなり、而るに此の法門出現せば正法像法に論師人師の申せし法門は皆日出でて後の星の光、巧匠の後に拙を知るなるべし、此の時には正像の寺堂の仏像僧等の霊験は皆きへうせて但此の大法のみ一閻浮提に流布すべしとみへて候、各各はかかる法門にちぎり有る人なればたのもしとをぼすべし云々。

問：法華経というありがたい経典があると、法華経の中で説かれている。
答：要となるものが五字七字の題目であり、それを諸仏の好みに従って説示するがゆえに無数の法華経がある。

問：法華経を読んでみるとわかるが、効能書きのみで内容がないと感じるのであります。
答：それで正解です。どんなに読んでもこれ単体では難信難解。

問：法華経以外の経典は、劣った教えなのでありましょうか。
答：一切経の主要な経典が法華経であり、仏説に勝劣はあるはずもなし。

【華厳経について】
　シルクロードの最東端、日出処に鎮座まします盧遮那仏は畏くも誠賢き御方、上品華厳経を読めども無限にして終わりなし。中品華厳経をもって、いま入法界品を説く。これぞ華厳の内容、仏陀の正覚。

＊＊＊　天上天下　唯我独尊　於大華厳　由本願力　＊＊＊

※華厳経に理解があれば、これがどれだけ大真面目かがわかりましょうぞ。ちなみに婆須蜜多女は売春婦ではなく「理想」。方便命婆羅門はキチガイではなく「挑戦」という概念。底本は江部鴨村殿の口語全訳華厳経上下巻であります、ポケットにでも忍ばせて読めば理解が深まりましょうぞ。雑華厳飾とは、法華経の数品を様々に飾るための重要で大事なあつまりの意。一即多、多即一の構造が法華経と一切経の関係。これが、華厳にはじまり法華におわるとのいわれ。

※十地経は陀羅尼を付与して、妙法蓮華経提婆達多品第十二で詳説いたします。普賢系のものは最後のほうで。

【大聖歓喜天について】
　釈迦十大弟子に文殊師利と弥勒菩薩が含まれていないのは、こういう理由であるからであります。大日如来最後の方便神は大聖歓喜天のガネーシャ様で象頭人身。この知識と智慧の大権現は、仏典にでてくる、象であった、象王のめぐるようにしてなどと記述してある文殊師利法王子のこと。次の仏も蓮華座を乗せた白象に乗ってやってくるのです。

【内容について】
　一生懸命頑張りましたが、これ以上は簡単にはできないのです。読んでみてわからない所は、華厳経に詳しいお坊さんか学者さんに頼ってください。この時点では法華経の信奉者に聞いたところで邪法扱いされるのが関の山であります。正邪の判断は次の巻で誰にでも出来るようにいたします。

【注意事項】
　仏教とは、自らを向上させることを目的とした教えであり、自助努力を説く法なり。ということで、以下に参考図書を記す。ご自分で精査されたし。

一、坂本幸男、岩本裕『法華経　上・中・下』岩波文庫。
二、花山信勝、聖徳太子『法華義疏　上・下』岩波文庫。
三、植木雅俊『梵漢和対照現代語訳　法華経　上・下』岩波書店。
四、中村元『龍樹』講談社学術文庫。
五、中村元『原始仏教　その思想と生活』ＮＨＫブックス。
六、中村元『慈悲』講談社学術文庫。
七、菅野博史『法華経入門』岩波新書。
八、木村清孝『さとりへの道　華厳経に学ぶ』ＮＨＫ出版。
九、原田霊道『現代意訳　華厳経』書肆心水。
十、中村元『現代語訳　大乗仏典５　華厳経　楞伽経』東京書籍。
十一、鎌田茂雄『華厳の思想』講談社学術文庫。
十二、細川巌『龍樹の仏教』ちくま学芸文庫。
十三、荒牧典俊『大乗仏典８　十地経』中公文庫。
十四、森本公誠『善財童子　求道の旅』東大寺。
十五、小松茂美『阿字義　華厳五十五所絵巻　法華経絵巻』中央公論。
十六、江部鴨村『口語全訳　華厳経　上・下』国書刊行会。
十七、盧舎那仏『中品　大方広佛華厳経』竜宮所蔵。
十八、水野敬也『夢をかなえるゾウ』飛鳥新社。