ある日、ボランティア仲間の男女が姿を消した。男はウランの濃縮に使用するガス用遠心分離機の製造技術を持つ会社の後継者であり技術者であった。女の方は上京後に行方を絶っていた週刊誌記者彩香の姉、純子である。顕彦と彩香の行方不明人探しは拉致、戸籍奪取、成りすましなど国家ぐるみの黒い罠の解明だった。痕跡を残さないため警察も関与できないまま犠牲者が多く出ていた。相手が手段をめぐって仲間割れをしたときようやく顕彦は国家犯罪の綻びを見出した。暴力団員を使うことで犯罪の痕跡を残し、発覚を恐れた工作員は撤退、国外に逃亡し、会社の乗っ取り、遠心分離技術の流出、資産の奪取は免れた。しかし、ハニートラップの対象だった会社会長は毒殺されてしまう。事件の概要は明らかにされたものの真相は何一つわからずに終わった。