1991年に東京創元社より発行されたゲームブック。メスロン・サーガとしての初版刊行順序では3作目にあたる。東京創元社版が絶版となった後、幻想迷宮書店から電子書籍化が決定されたのは初版刊行から実に25年後となる2016年。それまで、復刊、アプリ化ともにされておらず、旧版の入手も難しかったため、未読の読者も多かった。
おなじみとなった、正確にマッピングできる地下迷宮に個性あふれる登場キャラクターたち。脂の乗りきった鈴木直人の筆が濃密な物語を紡ぎだす。常に新しいものを目指した著者は「敵の思考を読む戦略的な闘い」を本作にて創出した。
作品をリリースするたびにオリジナルの進歩的要素を加えるのは鈴木直人の十八番だが、本システムはその中でもとりわけアバンギャルドなもので、「ゲームブックでこんなことが表現できるのか」と当時の読者を唸らせた。本書は電子書籍化にあたり、若干の修正を加えたもの。