ブラゴヴェシチェンスクに滞在中のホームズは、その街の場末を散歩中、地元のマクシム・ヴェレテニュークという鉱夫と知り合った。彼から最新の「シベリアの伝説」を聞かされたホームズは、それをワトソンに話してきかせた。その伝説にはホームズ自身と七人の兄弟強盗の物語が含まれていただけでなく、兄弟達の霊魂が野獣を使って黄金の崖を守っているという話が付け加わっていた。この伝説の根拠を調べるため、ホームズはワトソンとともにヴェレテニュークを訪ねることにした……。
　帝政ロシア末期の多作な大衆作家Ｐ・オルロヴェツ（本名ピョートル・ペトロヴィチ・ドゥドロフ、1872～1929）による、ユニークな「ロシア版ホームズ」短編集の三冊目『シベリアのシャーロック・ホームズ』（1909）から四つ目の短編を所収。