2020年には、東京オリンピックが行われる予定である。多くの外国人がわが国を訪れることが予想される。そこで政府、地方自治体、民間がおもてなしをしようと準備を進めている。われわれ日本人にとって、おもとなしだと思っても、外国人から見たら、おもてなしどころか、おせっかいと思われたり、迷惑だと思われたり、理解されなければ、せっかくの行為も台無しである。何よりも大事なことは、外国人の考えかたや、しきたりや文化的背景などの基礎知識をもっていることである。もちろんコミュニケーションの手段である語学をマスターしておくことは必要である。しかし語学ができるからといって、それだけでコミュニケーションができると思うのは間違いであろう。そこで本書では、文化的背景の違う人々がさまざまに対話する様子を紹介しながら、その場面に見られる対話の行き違いや、意思疎通の難しさ、そこに垣間見られる文化の違い、国民性の違いなどについて解説する。外国人をひとくくりで見ることは極めて不適切であることをこの書籍を読んで分かっていただければ幸いである。民族によって考え方もしきたりも思惑にも大きな違いが
見てとれる。本書を活用することで外国人一人一人と心が通ったコミュニケーションができることを願ってやまない。
そこで本書では、2020東京オリンピックで外国人と会話を楽しむために、外国人の国民性やコミュニケーション・スタイルを解説する。ところで国別の観光客受け入れランキングは、フランス、米国、スペイン、中国、イタリア、トルコ、ドイツ、イギリス、メキシコ、ロシア、タイ、オーストラリア、香港、マレーシア、ギリシャ、日本、サウジアラビアと続いている。日本の外国人観光客の数は2015年で1970万人と他の国に比べてまだ少ない状況にある。政府は2020年までに4000万人の目標を掲げている。
本書では紙面の都合で、現状や今後増加が予想される国々の中から
アラブ人、ロシア人、英国人、中国人、メキシコ人、ドイツ人、イタリア人、フランス人、インド人を取りあげる。もちろん日本人が外国特に米国人からどのように見られているかについても述べることにする。
本書は第1巻と第2巻からなる。第1巻では第1章から第5章まで取りあげる。第2巻では残りの第6章から第10章までを取りあげる。
なお本書の執筆にあたっては、巻末に記載した文献を参考にさせていただいた。特に各章で取りあげたエピソードや事例は文献1を参考にしている。ここに参考にさせていただいた文献の著者のみなさまには紙面をお借りして厚くお礼を申し述べます。