〈あらすじ〉
中国の国清寺で、偶然、古文書が発見された。838年、承和の遣唐使として海を渡り、
唐で生涯を終えた日本人僧侶、円載の日記だった。そこには、驚愕の事実が書かれていた。
承和の遣唐使には、隠された〈本当の目的〉があったというのだ――。
838年、東シナ海。日本から唐へと向かう承和の遣唐使船に、ひとりの若者が乗って
いた。丈部貞名、弱冠二十歳。彼は唐の都・長安で科挙試験を受け、唐人として立身出世
するという大志を抱いていた。
東シナ海を漂流した末、遣唐使船はついに唐の北東部に到着した。喜びをわかち合う遣
唐使の面々。だが、すぐに事件が起きる。船長である多治比文雄が毒殺されたのだ。誰か
が、遣唐使の行く手を阻もうとしている。いったい、誰が? 何のために? 果たして、
丈部たち遣唐使は、無事に長安へとたどり着けるのか? そして、遣唐使の〈本当の目的〉
とは何なのか――?
* * *
本作は、日本から唐への最後の使節団となった、承和の遣唐使の物語です。主人公は、
もちろん遣唐使の面々。当時の日本や唐の国内事情などを背景に、現地の娘との恋あり、
陰謀あり、激しい戦いありという、歴史ロマン冒険小説です。
内容量は、400字詰め原稿用紙で、約480枚。それなりの長編ですが、800年代
の唐に行ったつもりになって、どっぷり浸れること間違いなし。遣唐使に興味のある方、
唐代の中国にロマンを感じる方、あるいは当時から続く日中関係に関心がある方などには、
特に楽しんでいただけると思います。
〈著者〉
阪東義剛(ばんどうよしまさ)
1965年、大阪生まれ。早大人間科学部卒。放送作家、ビデオ・ディレクター。
ラジオ番組、テレビ番組の他、博物館等の展示上映ビデオなどを数多く手掛ける。
代表作:ラジオ「Suntory Saturday Waiting Bar AVANTI」テレビ「バック・トゥ・ザ・
21世紀」映画「バブルへGO!」展示上映作品「藤子不二雄ミュージアム」