16世紀の中国沿海で吹き荒れた倭寇の嵐、いわゆる嘉靖大倭寇に最初に挑んだ英傑、朱紈の物語。義に従い、おのが身に迫る危険を顧みず、東洋一の密貿易基地で海賊の巣窟、双嶼を攻略する。
嘉靖大倭寇期を駆けた名将・海賊・海商等を描くシリーズ『倭寇の海 英傑列伝』の第一弾中編小説(紙の書籍で100ページほど)。
■目次
海 へ
漳 州
台 州
双 嶼
寧 波
双嶼攻略
遣明使
瀕海衣冠の盗
蘇州
■主要登場人物
【文官】
◇朱紈(しゅがん):都察院副都御史(監察を担う中央省庁の次官)。浙江巡撫(浙江省長)兼福州・漳州・泉州等の海道提督軍務(沿海の臨時軍事長官)を任じられ、海賊討伐にのりだす。
◇周亮(しゅうりょう):福建の巡按監察御史(都察院に属し地方を巡察する官職)。福建省の富商や郷紳の意向を受けて朱紈を弾劾する。
◇柯喬(かきょう):福建海道副使(福建沿海防衛の長官)。朱紈が信頼する腹心。聡明だが、やや気が短い。
◇魏一恭(ぎいちきょう):浙江海道副使(浙江沿海防衛の長官)。臆病ながらも朱紈を支える。
【武官】
◇黎秀(りしゅう):福建備倭都指揮使(福建沿海防衛の長官)。行動が慎重で、朱紈に叱責される。
◇盧鏜(ろどう):福建都指揮僉事(福建方面軍のナンバースリー)。朱紈が信頼する武将。
◇兪大猷(ゆたいゆう):広東都指揮僉事(広東方面軍のナンバースリー)。
◇張漢(ちょうかん)福清衛指揮使。猛将。
【海商・海賊】
◇李光頭(りこうとう):双嶼の二大巨頭のうちのひとり。福建出身。
◇許棟(きょとう):双嶼の二大巨頭のうちのひとり。安徽歙県出身。
◇杉沢庄次郎(すぎさわしょうじろう):大内氏家臣。双嶼を拠点に貿易業を営む。頭脳明晰。