人は得すること以上に、損することを嫌う生き物だ。
例えば、近所の電気量販店で五万円の格安ノートパソコン購入を検討していたとする。
すると、アマゾンで同じものが四万円で売っていたのに気づき、嬉々として思わずポチってしまった。
しかし、次の日のタイムセールで三万円で売っていることを知ってしまった。
こんな場合だ。
これは、かなり悔しい思いをすることになるだろう。
理屈では、一万円得して一万円損したのだから、プラスマイナスゼロの気分のはずだが、心の中では決してそんなことにはならない。
ほとんどの人は得したことなど忘れてしまい、「あと一万円安く買えたのに」と「のに」が頭を駆け巡るに違いない。
私も、夕方のスーパーで三割引シールが貼られた刺身パックを「ツイてる!」と買い物カゴに入れて支払いをしていると、全く同じ刺身パックのシールの上から、半額シールを張っているのに気づいた時は、とても悲しかったものだ。
このようなことを、「プロスペクト理論」における「損失回避性」と呼ぶそうな。
人は、得られる物よりも、失う恐怖の方が大きいらしい。
この考え方はけっこう現場で使え、あなたの職場でも大いに活用できる。
というのも、ここだけの話だが、あなたの上司は、あなたによって得た利益の喜びよりも、あなたによって失った損失の恐怖の方が、大きく印象に残るのだ。
つまり、上司の役に立つことをするよりも、足を引っ張ることがなければ、それだけで自動的にあなたの印象はよくなっていく。
つまりは、引き算の成功哲学だ。
そんなに、がむしゃらに頑張らなくても、「己の欲せざる所を人にほどこすことなかれ」と、自分がされて嫌なことを人にしなければ、上司から評価されることは十分可能なのだ。
私自身も「派手で営業成績はいいが、たまに大失敗する」不安定な部下よりも、「地味で営業成績は普通だが、安定感があり信用できる」部下を選ぶだろう。
そこで、「大人のお約束シリーズ2」として「続・引き算の成功哲学~これをしないだけで出世できる50の智慧~」を書かせていただくことにした。
おかげさまで前作が好評だったこともあり、今回も楽しく執筆させていただいた。
実をいうと、2作目は「掛け算の成功哲学~相乗効果・シナジー効果で出世する50の智慧~」の原稿を執筆していたのだが、前作が思いのほか反響があったので、急きょ執筆を「引き算の成功哲学」の続編に切り替えたという訳だ。
臨機応変、融通無碍。
読者の皆様の反応を、執筆に活かすことができる。
このあたりの機敏さが、電子出版のいいところだ。
今回の続編では、前回だけでは紹介しきれなかった「引き算の成功哲学」の智慧を、さらに50個お裾分けしたい。
簡単に実践できるものから、中には少々ストイックなものまであるが、読者の皆様のステージアップにつながれば、著者としてこんなに嬉しいことはない。
目次
まえがき
第一章 行動編
責めない
小さな約束ほど忘れない、ほか8項目
第二章 常識編
地雷言葉を言わない
「ご苦労様」と言わない、ほか8項目
第三章 マナー編
スメハラをしない
独り言をつぶやかない、ほか8項目
第四章 お約束編
スーツで悩まない
二次会に行かない、ほか8項目
第五章 実はこれが一番言いたかった編
単刀直入に言わない
負けないために戦わない、ほか8項目
あとがき
著者紹介
お酒とジャズが大好きで、今までに人間学の本(紙の本)を2冊出版。
キンドルでは、「珠玉の言霊」シリーズと
「おとなのお約束」シリーズと
「童心遊筆」シリーズを出版中。
既刊本(紙の本)の紹介
『人生は今から1 笑顔は善の波動だ』
田中遊心ら4名で発行
A5判 224ページ 並製
2010年05月 発行
サンライズ出版
1000円
『人生は今から2 負けてたまるか』
田中遊心ら4名で発行
A5判 238ページ 並製
2013年10月 発行
サンライズ出版
1000円
既刊本(Kindle本)の紹介
『酒玉の言霊1』
2016年10月 発行
『酒玉の言霊2』
2016年10月 発行
『酒玉の言霊3』
2016年10月 発行
『酒玉の言霊4』
2016年11月 発行
『酒玉の言霊5』
2016年11月 発行
『大人のお約束1~引き算の成功哲学~これをしないだけで出世できる50の智慧~』
2016年10月 発行
『大人のお約束2~続・引き算の成功哲学~これをしないだけで出世できる50の智慧~』
2016年11月 発行
『童心遊筆1~引き算の子育て考~これをしないだけでうまくいく子育て39(サンキュー)の智慧~』
2017年1月 発行