資格試験・検定試験などのために『合格六法』といった類の本で条文を読んではみたが、さっぱり頭に入らないという方は多いと思います。
それもそのはずで、法律の条文は実に素っ気なく、単調に書かれていますから、しばらく読んでいると飽きてしまい、意味もわからずに単に字面だけを追っているようになりがちなものです。
単調に並んでいるだけの条文に、少しでも変化が付けられれば、記憶にも残りやすいでしょう。
そこで、本書では、法律の条文を三つの観点から捉えなおして、読者が気分を変えながら読み進められるようにしました。
その三つとは、
一 もとの法律の条文
二 その英訳
三 記憶力チェック
です。
英訳は、「必要ない」と思われる方は読み飛ばしてもらって結構ですが、英訳をさらに日本語で解説していますので、日本語の条文がわかりにくい場合、理解の助けになることもあります。例えば、「物上代位」などは、漢字だけ見ても意味がよくわからない言葉ですが、英語では「担保物件の代価への担保権の拡張」と訳されているので、英語の方がかえってわかりやすいかも知れません。このような場合、本書では英語から訳した日本語も交えて解説しています。
また、「記憶力チェック」は、条文の一部を空欄にした空所補充問題です。条文を暗記する必要がない方でも、試してみると漫然と条文を読むことを防ぎ、細かい言葉の見落としがあったことなどに気付くかも知れません。問題の次のページでは条文全体を見ながら答えあわせが出来るので、繰り返し学習にもなります。
例えば、
第三百六十九条
抵当権者は、[ ]又は[ ]が[ ]を[ ]しないで債務の担保に供した[ ]について、他の[ ]に先立って自己の債権の[ ]を受ける権利を有する。
これが次のページを見ると、
第三百六十九条
抵当権者は、[債務者]又は[第三者]が[占有]を[移転]しないで債務の担保に供した[不動産]について、他の[債権者]に先立って自己の債権の[弁済]を受ける権利を有する。
のようになっていますので、条文を読みながら記憶が確かめられるようになっています。
なお、英訳は「日本法令外国語訳データベースシステム」に基づいていますが、編集部による別訳も適宜併載しています。英訳には法律用語だけではなく一般的な英単語についても語釈を施して、高校生でも読みこなせるようにしてあります。